お母さんからもらった数百円を握りしめて、駄菓子屋のお菓子と睨めっこをした。
そんな経験はありませんか?
小さいながらにおっちゃんと交渉をした駄菓子屋での日々は、最初に世の中のルールを教わる時間だったようにも思います。
しかし、現在街中で駄菓子を見ることが少なくなってきました。
経済産業省によると、駄菓子屋などが該当する「菓子小売業(製造小売を除く)」の事業所数・従業者数は大きく数を減らしており、1996年からの20年間で、およそ7割以上が減少したと言われています。
そんな貴重な駄菓子屋が、布施では、大切に守られていました。
公園前の小さな駄菓子屋
駄菓子屋、三ノ瀬ショップがあるのは三ノ瀬公園の目の前。
平日の放課後には走り回る小学生、散歩するおじいちゃん。週末にはキャッチボールする親子。老若男女が集う大きな公園です。
三ノ瀬公園の南筋の色褪せたオレンジ色の看板には、「駄菓子屋」の文字。
懐かしい「駄菓子屋」の響きにワクワクしながら、子供たちのあとを追って入店しました。
子供の目線に合わせて
入ってみると、小さな店内の壁一面は全てお菓子!子供の時のワクワク感が蘇ります。
店内は綺麗に整理整頓されていて、非常に見やすくなっています。
店主はDIYが大好きで、店内の陳列・棚の設置全てご自身で作ったそう。訪れる子供たちのために、店内には多くの工夫が施されています。
大人の私は商品棚の一番下の段まで見ることはあっても、見ているのは商品だけ。
「その棚の奥の壁を見てみて」と店主に言われ見てみると…
ここにもパッケージのラミネートと可愛らしいキャラクターが!
子供たちの目線に合わせてお店のディスプレイを作ることが、店主の楽しみでもあり、こだわりです。
握りしめたお小遣い
ディスプレイにはもう一つのこだわりが。お菓子の金額をわかりやすく表記しています。
子供たちが限られたお小遣いの中で、自分で考えて好きなだけお菓子を選べるようにという店主の優しさからです。
そんな三ノ瀬ショップ店内では、
「おっちゃん今何円?」
「〜円やで。」
「じゃあ、あと〜〜円買えるな!」
と元気なやりとりが響きます。
箱入りのお菓子もわざと個包装にわけ、小額で販売することで、たくさんの種類のお菓子から選ぶことができますね。
みんな大好きなアレ
子供も大人も、年齢関係なしにみんな大好きなのは…そう!くじ引きです!
三ノ瀬ショップでは購入額に合わせて、くじ引きをすることができます。当たりは50円、100円の金券です!
当たっても当たらなくても、くじを引いてパッケージを開ける、あのドキドキ感がなんとも言えない幸せな瞬間です。
当たったくじは、レジ周りに綺麗に飾られています。自分の当たりくじを見つけては、自慢げに友達に話す子供たちの姿も愛くるしいですね。
子供のため、地域のため
朝は8時から、夕方は18時まで年中無休でお店に立ち続ける店主。
親御さんにとって、公園の近くに子供達を見守ってくれている人がいるのはとても安心ですよね。
でも店主は見守っているだけではないのです。
子供達の良き大人として、お店にたち続けています。
「子供が店に入ってきたら挨拶をするよう習慣づけています。しない子には、挨拶は?と必ず挨拶するように働きかけています。」
挨拶は人とのコミュニケーションの基本であり、大人になっても必須です。
近所づきあいが薄れてきた現代で、学校以外の場所で、三ノ瀬ショップのようにそれを教えてくれる場所が残り続けて言って欲しいと願うばかりです。
元々、店主のお母様が営んでいた三ノ瀬ショップ。
お母様が亡くなられ、お店を閉めようとしていましたが、子供たちに「辞めないで!」と言われ引き継ぐことを決意されたそうです。
子供達の想いと店主の想いが重なり、今の駄菓子屋、三ノ瀬ショップが在ります。
是非、次はご自身の足でタイムスリップしてみて下さい。
きっと懐かしい思い出と店主の素敵な笑顔が待っています。