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子どもの成長を商店街のみんなで見守ろう。ゲストの寄付から生まれる地域イベント「icoima」
国籍や性別、年代も飛び越えて、みんなでお祭りの夜のように楽しめる場。SEKAI HOTELが目指しているのはそんな風景のある宿であり、地域です。
大阪・布施の商店街で、近い将来そんな風景を見られるように、SEKAI HOTELでは様々な取り組みをしています。その一つが、子ども向けイベント「icoima(イコイマ)」です。
「多文化を知る」子ども向けイベント
icoimaは、2018年から月一回を目安に開催する子ども向けの無料イベント。SEKAI HOTELのフロントでもあるCafe&Barに集まって、これまでハロウィンやイースター、世界地図作りなどの催しをしてきました。
2018年から毎年開催(コロナ禍のため2021年はお休み)しているハロウィン。商店街のお店にご協力いただき、子どもたちはまちに飛び出し楽しむ。動画は2020年10月に開催したicoima vol.11「halloween」のもの
2020年7月に開催したicoima vol.10「世界地図作り」。大陸ごとに会を分け、国境にとらわれず思い思いの色を塗った。また、各大陸の文化や気象の変化、言語についても勉強した。レポートはこちら
icoimaではさまざまな切り口のイベントを開催していますが、共通テーマは「多文化を知る」こと。
SEKAI HOTELには、世界各国からゲストが訪れます。また、働くスタッフも多様。海外での活動経験のあるスタッフも多いため、布施にいながら世界中の文化や言語に触れることができます。
そんな環境を活かして、「商店街の子どもたちのために何かできないだろうか」「海外の文化を子どもたちに伝えたい」といったスタッフの思いからicoimaは生まれました。
2022年9月に実施した、メキシコのお祭り「Dia de muertos(ディア・デ・ムエルトス)」。スペイン語で「死者の日」を意味し、各家庭に祭壇を設けたり、先祖の墓を飾り付けたりする習慣がある。日本との文化の違いをクイズ形式で学びながら、オリジナルの祭壇やお面を作った
子どもがスクスクと育つのを実感できる商店街
コロナ禍での休止を余儀なくされながらも、icoimaは2018年のスタートから14回(2022年12月時点)開催してきました。参加する子どもの多くは、商店街のお店のお子さんや近隣地域に住むお子さん。「icoima」への参加をきっかけに、子どもたちにはさまざまな変化が生まれています。
例えば、商店街でお店を営み、SEKAI HOTELのパートナーにもなっていただいている「三ツ矢蒲鉾店」のお子さん、あやめちゃん。
お店とパートナーシップを結んだご縁もあり、あやめちゃんは保育園児だった2020年から「icoima」に参加してくれるようになりました。初めは恥ずかしがって、なかなかスタッフとも打ち解けずにいましたが、何度も参加するうちにスタッフ一人ひとりともお互いに呼び合える仲に。
小学生になった今では、学校がお休みの日に、なんとSEKAI HOTELのオープン前にフロントの掃除をお手伝いしてくれるようになりました。
お店とSEKAI HOTELは目と鼻の先なので、一人で遊びに来たり、夏休みには「宿題の丸付けをして」とスタッフさんにお願いしたり。海外出身のスタッフの方と話すうちに、「早く英語を喋れるようになりたい」と目標ができて、勉強を始めるなど、私たちも驚くほどの成長を遂げています。
icoimanに参加するあやめちゃん。はじめて自転車に乗れた瞬間も、スタッフが目撃して、親御さんと一緒に喜びあった
また、近隣の保育園に通うけいとくんのお父さんは、お子さんの変化をこのように語ります。
「息子は自分の世界にのめり込むことが多く、集団生活になかなか馴染みにくいタイプ。保育園でもみんなと同じように行動できなくて怒られることも多々あります。しかし、『icoima』ではのびのびと遊び、楽しそうに過ごす息子の姿が見られました。保育園とは別の環境でありのままの自分を認めてもらえたことで、息子に自信が芽生えたと感じています。」
フロントの前を通るたびに、スタッフに満面の笑みで手を振ってくれるけいとくん。「icoima」で違う保育園に通うお友達や異年齢のお友達ができ、毎回会えるのを楽しみに参加してくれる
ゲストの寄付で成り立つ「Social Good 200」
こうしたicoimaの活動費は、すべて「Social Good 200」という取り組みでゲストさんから頂戴した寄付で賄われています。
仕組みはとてもシンプル。ゲスト(宿泊客)から頂戴する宿泊料金のうち1泊200円/組を自動的に積み立て、応援したい取り組みに使わせてもらうものです。
支援する取り組みは3つで、ゲストにはチェックアウトの際にどのプロジェクトを応援するのか選んでもらいます。
一つは「地域の若者の選択肢を増やす」ことを目的にした、icoimaへの支援。二つ目は「地域の新しい形をつくる」ことを目指して、閉店してしまった商店街のお店をリノベーションして、新しい客室を作る際や既存の客室のメンテナンス費用として利用させてもらっています。そして最後が「NGOへの寄付」です。海外との繋がりも感じられるよう提携するNGOを通じて、発展途上国の子どもたちの教育支援金に充てさせてもらっています。
商店街の空き店舗をリノベーションしている様子
なかでも、icoimaを選ぶゲストは4割いらっしゃり、子どもの未来を応援したいと共感してくださる方の多さを感じています。また、取り組みの内容を聞いて、布施出身の方が帰省時に宿泊されて追加でお金を寄付してくださったり、商店街の方がCafe&Barを利用してた際「お釣りはicoimaに使ってよ!」と声をかけてくださったりすることもあり、ご寄付を使わせていただき子どもたちに多文化を知る楽しさを届ける私たちも身が引き締まる思いです。
LINEやYouTube、オンラインコミュニティ「SEKAI HOTEL TOWN」で続報を知ろう!
今回ご紹介したような子どもの変化や商店街の風景の移り変わりを、スタッフは日頃から見聞きしていますが、残念ながらその全てをSocial Good 200にご寄付いただいた皆様にお伝えすることはできていません。
そこで、SEKAI HOTELではできるところから情報をお届けするチャネルを増やしています。
その一つがLINEです。ご宿泊いただくゲストのみなさんには、フロントでSEKAI HOTELの公式LINEアカウントをご紹介しています。ご登録いただくと、イベントの開催予告や報告リンクをお送りするので、Social Good 200に寄付いただいた200円がどんな活動に使われているのかを見ていただくことができます。
さらに、もっと「SEKAI HOTELの取り組みについて知りたい」「日常に戻った後も布施と繋がっていたい」とご希望される方には、オンラインコミュニティ「SEKAI HOTEL TOWN」をご案内しています。
2020年に立ち上げた「SEKAI HOTEL TOWN」は、月1回ペースでオンライン配信をしています。「布施のおすすめの歩き方」や「宿泊ゲストが実際に見つけた布施の魅力」などをテーマに、離れていても布施の人に出会い、日常を体験してもらえるような情報をお届けしています。
現在はゲストやパートナーショップ、布施の事業者さんなど約100名にご参加いただくコミュニティに育ちました。
今はまだ宿泊されたゲストの方に直接ご案内するクローズドな形ですが、今後はSEKAI HOTELに興味はあるけど泊まったことがない方にもご参加いただけるようにしていこうと思いますので、楽しみにしてもらえたら嬉しいです。
地域の未来を考えるきっかけにicoimaがなる
Social Good 200の取り組みを続けることが、地域の方とゲストと共に、布施の未来をつくっていく。商店街のみなさんとゲストと一緒に、対等に、地域の未来を考える関係性を築いていきたいと、私たちは考えています。
だからこそ、SEKAI HOTELは旅先の日常(=ORDINARY)が体験できるまちごとホテルとして開業しました。
icoimaは、そんな日常を未来に繋いでいくための大切な取り組みです。ぜひ宿泊される際は、地域を共につくる一員として、地域の未来に何が必要かを頭の片隅で考えてもらいながら、旅を楽しんでもらいたいです。
スタッフ一同、布施でお待ちしております。
Written by Yui Kitagawa
三重県生まれ。札幌を経て、現在は京都と三重の2拠点居住。
全国各地の人(法人)や場を訪ねながら、人とまちの関わりを編む日々。
イチジクとカフェラテが大好き!