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My ORDINARY vol.3 〜たこ焼きでちょっとだけおさぼり〜
陽が落ちきって、すっかり暗くなった布施のまち。
商店街が一番賑やかになる時間だ。
晩ごはんのためにお惣菜屋に並ぶ主婦さんたちが、
チャリで塾へ向かう学生たちが、
居酒屋のシャッターをあげる店主の兄ちゃんが、
仕事終わりの上司と部下らしき人たちが。
色んな人が商店街へやってくる。
シフトを終えた後の晩ご飯は、いつも何を食べようか迷ってしまう。
今日は寒かったので、無性にあったかいものを食べたくなった。
「そうだ、たこ焼きにしよう。」
「丸幸水産」は、僕のお気に入りのたこ焼き屋さん。
でも、この店を選ぶ理由は、”たこ焼き“ だけではない。
もちろん、たこ焼きもすっごく美味しいけど、店主の寺田さんと話すのが楽しい事も来てしまう理由だ。僕が何か相談事をすると、いつもビシッとアドバイスをくれる。
「お疲れっす。からしマヨひとつ!」
先に注文をすませ、店の前に並べられた椅子に腰掛ける。
そんな店の前では、いつも地元の人たちが足を止め、たこ焼きを買わない人でさえ、店の前に座って話している。たこ焼き屋さんなのに、スナックみたいな雰囲気を感じる瞬間がある。
今日も、いつもの常連さんが缶コーヒー片手に座っていた。僕は冷えた手を擦り合わせながら、常連さんと店主の寺田さんと世間話を楽しんだ。
「あいっ、お待たせ!」
たこ焼きがやって来た。「からしマヨ」は僕のお気に入り。からしとソースの甘みが絶妙にあう。
出来立てのたこ焼きの上では、今日も鰹節が踊っている。
熱いのを冷まそうと、お箸で割ると立ち込める湯気。
「いただきます」口にほうりこむが、まだ熱い。
でも、寒い日には、この熱さがたまらない。
「まだ休憩してていけんの?」
この店に来ると、話が弾んで止まらないせいで、お箸が止まってしまう。
まだ残っているたこ焼きの蓋を閉め、慌ててフロントまで小走りで戻った。
2分遅れということは、まだ誰にもバレていない。
夕暮れに訪れる、このたこ焼き屋での時間が、“My ORDINARY“ 。
Written by Yuki Kume
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-My ORDINARYとは-
地域の人々とSEKAI HOTELスタッフとの日常=ORDINARYをスタッフ個人が綴る連載企画。
地域の人との飾らないありのままのコミュニケーションや情景を感じて、少しでも旅先の日常を感じてみてください。