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My ORDINARY vol.5 〜カコさんのハイヒールが響くとき〜
コツコツコツ…
商店街に上品なハイヒールの音が響く。
この商店街でハイヒールを履いている人といえば、一人しかいない。
上品な笑顔でニコニコしながらやってきたのは
一件挟んでお隣のスナックのママ・カコさん。
いつも店先の窓の端から顔を覗かせて、少し照れたような顔でこちらを窺う。
カコさんの手には山盛りのおいなりさん。
それに気がつくと、みんなフロント業務はそっちのけで、目を輝かせてカコさんの方へ駆け寄る。
「みんなの分なくてごめんね~」
というけれど、その優しさだけでみんなの心は十分満たされている。
今日の夜ご飯はこれで決まりだ。
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休憩中、夜ご飯を買いに行こうとした時にカコさんに会い
「何しに行くの~?」
『晩ご飯を買いに行ってこようかと…』
「かわいそうに~。おむすび握ってあげる!」
という会話から始まった差し入れ。
夏はオクラや山芋、トマトが入った素麺。
ちょっと涼しくなってきた最近は、おいなりさんと温かい豚汁。
味も最高に美味しくて、栄養バランスも○。
なにより優しい母の様なカコさんの愛情が、大阪という慣れない土地で一人暮らしをしている私の心を満たす。
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ご飯を渡した後のカコさんは、ハイヒールを鳴らしながら颯爽とお店へ帰っていく。
その姿は渡しに来たときのニコニコかわいい姿とは一転、かっこいい。
女性らしく華やかなママさんという印象とは裏腹に、実は昔、トラックの運転手をしていたという男前な過去を持つ。
鹿児島生まれのカコさんは、お酒も相当強い。
お母さんに瓶ビールを飲まされて鍛えられたらしい…。
たまにフロントに来ては、世界のクラフトビールを片っ端から試している。
そんな豪快で男前な一面をたまに覗かせるのも、カコさんの魅力のひとつかもしれない。
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コツコツコツコツ…
また今日もカコさんは商店街にハイヒールを響かせて、美味しいご飯を持ってくる。
母のような愛情と男前な粋と共に…。
Written by Natsumi Hamato
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-My ORDINARYとは-
地域の人々とSEKAI HOTELスタッフとの日常=ORDINARYをスタッフ個人が綴る連載企画。
地域の人との飾らないありのままのコミュニケーションや情景を感じて、少しでも旅先の日常を感じてみてください。