近鉄布施駅から徒歩3分。
ブランドーリふせ一番街に「Kitchen friend 怜」があります。
地元・布施を活気づけたいという思いを抱き、お惣菜屋さんを飲食未経験からスタート。
今では連日たくさんの人が立ち寄るお店ですが、その秘密は“母の味”……?
そんな、親子で布施の食を彩るお惣菜屋さんをご紹介します。
「母のからあげ」がまちに通用するのか
2019年7月に開業したKitchen friend怜。店主の怜司さんは、飲食業の経験ゼロからのスタート。
右も左もわからない状況のなか、唯一揺るぎない自信があったのが「母のからあげ」。
前日から漬け込むニンニク醤油ベースのタレが美味しさの秘密です。
「この味を食べて育ってきました。どこのからあげを食べても、母のからあげより美味しいと思ったことが一度もなかったんです」
この味がまちの人にもウケるのか。
それが証明されたのが、毎年夏に布施で開催されているお祭り「土曜夜市」での出来事でした。
屋台としてからあげ屋さんを出店した怜司さんと母・いずみさん。
「この人さっきも見たなあと思っていたら、一晩で4回も買いにきてくれてたんです。『うまいうまい!』って、からあげをよっぽど気に入ってくれたみたいで」
家族以外の人にも味が認められたことで確信を持ち、Kitchen friend 怜が始まりました。からあげの虜になったそのお客さんが、オープン当初も口コミを広げてくれたんだとか。
“揚げてから量る”から安い
Kitchen friend 怜のからあげは100g 220円。前日から仕込むこだわりの味がこの破格。さらに一般的なお肉屋さんとは違い、“揚げてから量る”スタイルです。
油を吸って重くなるんじゃ……? と思ったあなた。実は逆なんです。お肉が元々含んでいる水分に加え、味付けダレやバッター液などの水分を吸収したお肉を揚げると、その水分が蒸発し切ったあとの隙間に油分が吸収されます。
油は水より軽い。つまり、揚げたあとの軽い状態で量るほうが断然お得なんです。物価の高騰など決して余裕があるわけではありませんが、「美味しいものを安く提供したい」という気持ちを守り抜きたいんだそう。
生まれ育った布施を盛り上げたかった
そんなお店を立ち上げたきっかけは、商店街のシャッターが閉まっていく様子を見て「布施をもっと活気づけたい」と思ったこと。
怜司さんは生まれも育ちも布施の、生粋の地元っ子。開業前はお隣の宝くじ販売店で働いていました。
実はKitchen friend 怜には前身があり、それは30年以上も遡ります。同じ場所で、怜司さんの母・いずみさんが「フードショップいずみ」というお惣菜屋さんを営んでいたんだそう。しかし体調を崩してしまい、2年で看板を下ろすことに。
長い時を経て、料理上手な母と二人三脚、新たな看板を背負ってお惣菜屋さんを再スタートしたのです。
お客さんのわがままをできるだけ聞きたい
2人の熱がこもるのはもちろん、からあげだけではありません。店頭のショーケースには、たくさんの手作りお惣菜がずらり。「◯◯ないの?」「◯◯食べたい」といったお客さんの要望に応えるうちに、どんどん種類が増えていったそう。
おすすめ商品の「肉じゃが」は、昔から食べていたようなやさしい家庭の味。口に入れるとホッと安心してしまうんです。
お弁当も同じで、さまざまなフライが入ったミックス弁当もお客さんのリクエストから生まれました。
「わがままをできる範囲で聞くことがお客さんに寄り添うことでもある」と話す怜司さん。そんな思いから30種類を超えるバリエーションになったお弁当・どんぶりは、お昼前には売り切れてしまう人気ぶりです(作り置き分)。
さっき食べたのにもう食べたい。不思議なほどやみつきになるからあげは、怜司さんの母・いずみさんが長年大切にしてきた家族への思いが秘伝の味になっているのでしょう。
布施を愛し、布施に愛されるお惣菜屋さんで、あったかい“母の味”に包まれてみませんか。