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布施のおすすめスポット

コロッケの匂いで帰ってくる町【肉のやまじん】

ふと香ばしい匂いに振り返ると、そこには今日も行列。
揚げたてのコロッケを求めて、人が集まる。声が交わる。町が動き出す。
布施本町商店街にある「肉のやまじん」は、創業70年を迎える老舗の肉屋さん。
名物の“なにわコロッケ”は、一日3000個売れる日もある、布施の顔。
その味は、観光客の舌だけでなく、地元の食卓や記憶にも、しっかり根を下ろしている。

スポット情報
肉のやまじん
住所 大阪府東大阪市足代1-16-24GoogleMap
電話番号 06-6721-0805
営業時間 9:30〜19:20
定休日 木曜日

商店街の真ん中で、香りが呼ぶ

午後の商店街を歩いていると、ぶわっと香ばしい匂いが鼻をくすぐる。
カラリとした油の香りに、甘い玉ねぎ、ほくほくのじゃがいも。
自然と足が向かってしまうのが、「肉のやまじん」。

布施本町商店街にあるこのお肉屋さんは、創業から70年以上。
いつ見ても人が並んでいて、特にお昼前と夕方は大にぎわい。
その理由はひとつじゃないけれど、まず間違いなくこの匂いが、人を惹きつけている。

みんなの「なにわコロッケ」

看板メニューの「なにわコロッケ」は、まさに地元のソウルフード。
北海道産の男爵いもに、甘辛く炊いた和牛すじ肉をたっぷり混ぜ込む。
その場で揚げてくれるので、紙袋を受け取った瞬間、手がほんのり温かい。

表面はサクッと。中はふわっと。
素材の良さがダイレクトに伝わってきて、何もつけなくても充分おいしい。
おやつにもなるし、おかずにもなる。
冷めてもホクホク感が残るのは、揚げ方やつなぎの配合まで細かく工夫しているからなんだとか。

味が、やさしい。
けれど、その奥には職人の意地のようなものも、しっかり感じる。

ミンチカツで、ご褒美にする

もう一つの主役は、ミンチカツ。
厚みのある粗挽きミンチに、甘さのある玉ねぎ。
スパイスがふわっと香ったかと思えば、次の瞬間には肉汁があふれる。
それも、ただの肉汁じゃない。
良質なラードを使っているから、脂っこさよりもコクが先にくる。

かじった瞬間に「ビールほしい」と思ってしまうのは、多分私だけじゃない。
晩酌の主役にするのもいいし、その場でかぶりついて“今日はちょっといい日”にしてしまうのも、悪くない。

安心だからこそ、選べる楽しさ

やまじんには、揚げ物だけでも30種類以上。
さらに、お弁当、サンドイッチ、ハンバーガーまでラインナップが広がる。

がっつり派にも、小腹満たし派にもやさしい。
この懐の深さが、毎日来ても飽きられない理由のひとつかもしれない。

「今日は何にしようかな」
そんなふうに考えながら列に並ぶ時間も、ちょっとした幸せだ。

主婦たちの味方として

やまじんのコロッケは、食べ歩きグルメとして人気があるけれど、実は“家庭の味方”でもある。

主婦にとって、コロッケは手間のかかる料理。
じゃがいもを茹でて潰して、具を混ぜて、衣をつけて、油で揚げて…。
後片付けまで考えたら、相当な労力だ。

それでも、子どもたちはコロッケが大好きで、晩ごはんに出したらきっと喜ぶ。
そんなとき、やまじんがある。
テイクアウトしたコロッケを、家でごはんとお味噌汁に添えるだけで、ちゃんとした夕飯になる。

「助かるわ〜」
そう言って買い物袋に詰め込んでいく姿を、私は何度も見た。

また食べたくなる理由

「布施に帰ってきたら、まずはやまじんのコロッケ」
そう話す地元の人は少なくない。
それはたぶん、ただ美味しいから、だけじゃない。

ひと口食べるたびに、なんとなく思い出す光景がある。
放課後に食べたあの紙袋の温度とか、商店街を母親と歩いた日とか。
お腹を満たすだけじゃない、そんな記憶がこの味には詰まっている。

70年という年月を、コロッケで繋いできたやまじん。
変わらないレシピと、変わらず賑わう商店街。
この町の日常の中で、“また食べたくなる味”として、今日もあの香りが立ち上っている。

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