大阪に来たら、絶対食べたいローカルグルメといえば「お好み焼き」。
折角なら舌の肥えた地元民が美味しいと太鼓判を押す名店に行きたいですよね。
粉もんには特にうるさい布施の住民が、今なお多く通い続ける、1980年創業のお好み焼きの名店「サニヤン」をご紹介します
大阪人が選ぶ絶品のお好み焼きはこれだ。
大阪のソウルフード「お好み焼き」は、大阪人のおやつ。普段から食べる日常のグルメだからこそ、より厳しい評価がなされます。
地元民が皆口を揃えて美味しいと言うお好み焼きが「サニヤン」です。
何の変哲もないように見えるこのお好み焼きなんですが、食べてびっくり。
普通のお好み焼きと食感が違います。ふわふわをこえて、ほわほわ。
咀嚼していくと、キャベツの甘みが口いっぱいに広がります。
主張しすぎない程よい甘さのソースがさらに素材の良さを引き立て、鰹節の旨味、青のりの風味が鼻に抜けていきます。
小麦粉が通常の1/4、伝説の黄金比がうむふわほわ食感
サニヤンのお好み焼きの秘密を店主に聞いて来ました。
サニヤンのお好み焼きの大きな特徴は、その配合のバランスにあります。一般的なお好み焼きがキャベツ:卵:小麦粉が1:1:1のところ、サニヤンでは、4:4:1と圧倒的に小麦粉の量が少ないんです。
実はサニヤンはテイクアウト専門店。
鉄板の上で食べるわけではないからこそ、冷えても美味しいお好み焼きを追求した結果この配合になったのです。
キャベツの繋ぎ目として配合されている小麦粉は、鉄板の上ではもちもちの食感のままですが、蓋をして持ち帰るテイクアウトの場合はべちゃっとした食感になってしまうのだとか。
持って帰った際も独特のふわほわ食感で食べてもらえるように小麦粉を減らした結果今の配合になりました。
実は、サニヤンのお好み焼きは焼きたてで食べると、パリパリで美味しくない、というのはちょっとした裏話です。
1玉400円!最高級キャベツを使う理由
さらに、サニヤンが最もこだわっているのはキャベツの品質です。
熱々でない食品はより、食材本来の味が際立つものです。だからこそ、お好み焼きを支えるキャベツには妥協することはできません。
季節に応じて、店主が自身で品定めした全国各地のキャベツを使用します。
特に旨味が蓄えられている冬場は大阪産の”松波”を。寒さから身を守るために糖度を高める松波は、加熱調理をするとよりその甘さがますと言います。
他のキャベツより育てるのに手間がかかるため、通常のスーパーには出回らず、1玉400円もするのだそう。
そして、そんなキャベツを切り刻むためには餃子用の強力な機械を創業当時から使っています。キャベツの甘さを最大限引き出す均一な大きさに切るためにはこちらの機械が最適だったのだとか。
これらのこだわりによって、ソースの味に負けずにキャベツの甘さがスーッと奥から引き出される、サニヤン独自の味わいに繋がっているのです。
大阪のローカルドリンク、冷やし飴をお供に
さらに、サニヤンでは大阪の知られざるローカルドリンク「冷やし飴」も楽しめます。
冷やし飴とは、麦芽水飴をお湯で溶いて、生姜の絞り汁を加えて冷やした、冷たい飲み物です。
穀類のやさしい甘みと生姜の爽やかさが感じられる、夏にピッタリの飲み物として、大阪を中心に親しまれています。
キンキンに冷えた冷やし飴は、商店街を散策し疲れた体に染み渡ります。
自動販売機で販売されるほど、一般的になった冷やし飴ですが、昔ながらのディスペンサーで今なお、店頭で冷やし飴を販売している店舗は大阪でも数えるほど。
暑い夏、自転車を店前につけ、冷やし飴をぐっと一飲みする常連さんの姿は、かけがえのない大阪の日常の一コマです。
下町商店街は食のワンダーランド
下町商店街のB級グルメだと侮るなかれ。
味には人一倍厳しい大阪人に愛されるためには、抜け目ない創意工夫と絶え間ない努力がありました。
布施のまちで毎日変わらない味を提供するサニヤンは、毎日のように通う常連さんでいっぱい。
たった数百円でこれだけの絶品が楽しめるなんて、商店街って最高ですね。さらなる絶品を求めてぜひ散策してみてください。