メディアやSNSへの掲載は一切断っているという隠れた名店「大衆居酒屋 淡路屋」が布施にあります。
地元の人でごった返している人気店は、実はあまりメディアやSNSには出ていないことが多いです。通りにひっそりと佇む、何の変哲もない外観のお店に多くの人が出入りする様子を見たことはありませんか?
まさに本邦初公開。老舗の人気の秘密にせまります。
地元民で混み合う、人気居酒屋「淡路屋」
近鉄・布施駅北側は所狭しと居酒屋が立ち並ぶ、賑やかな飲食街。
色鮮やかなネオン管の照明や、大きな看板などお店を知ってもらうための工夫が目立ちます。
そんな中ブランドーリふせ1番街のとある大衆居酒屋に、多くの人が引き寄せられていました。中を覗いてみると、スーツ姿のサラリーマンや地元のおっちゃん、おばちゃんで一杯ではありませんか。
地元の人で混み合っている居酒屋はきっと美味しいに違いありません。潜入してみましょう。
まるで舞台セット? THE・大衆居酒屋
背の低い暖簾をくぐると、大きなこの字のカウンターに、4人がけのテーブルが3つ。ゆったりとした店内です。
壁面には手書きのメニューがずらり。長年の営業で染み付いた壁面や天井のシミがいい味を出しています。
「とりあえず生で!」とつい口から出るような、いかにも”THE 大衆居酒屋”という印象の内観に、ワクワクが止まりません。
特別な旅先での体験にぜひ勇気を出して、カウンターに座ってみてください。
絶対に外せない、大阪・下町グルメの数々
まず目に飛び込んでくるのは、カウンター内側でぐつぐつと煮込まれている、どて焼き(¥550)とおでん(¥100~)。開店当時から継ぎ足されてきた秘伝のレシピです。
注文したら、10秒もかからず机上に運ばれてきます。まさにスピードメニューですね。
どて焼きとは、大阪で古くから食べられている豚の小腸を使った下町グルメ。大阪定番の居酒屋メニューです。
淡路屋でおでんを食べるなら、外せないのはしゅうまいです!注文してからお鍋に入れ、煮崩れる直前のふわふわ食感はまさに熟練の勘がなす絶品です。
また大阪にきたら絶対に食べたい、串カツも用意。卓上のソースはどれだけでもかけ放題ですが、つけすぎ厳禁ですよ!
そして、常連の高橋さんから絶対に食べた方がいいとおすすめされたのは、その日仕入れた新鮮なお造り。カウンター後ろのホワイトボードには、本日のおすすめが並びます。
この日は本マグロの赤身!綺麗な切り口に惚れ惚れします。
大阪庶民の定番の味!?鯨料理
さて、メニュー表には見慣れない「おばけ」の文字。
実は鯨のお刺身なんです。
大阪は日本の三大捕鯨基地の一つ、紀州太地から近かったこともあり、戦前は日本を代表する鯨肉の集散地でした。現在でも、鯨の流通量が福岡県についで全国2位。鯨肉の入手が難しくなった現在でも、大阪の食文化として伝承されています。
淡路屋は、そんな大阪庶民の味・鯨が食べられる数少ないお店です。
定番の「鯨ベーコン(¥600)」、コリコリした食感が楽しい皮「おばけ(¥500)」の2種類のお刺身が味わえます。
先代のこだわり「キリンビール 年中あります」
お腹も一杯になったところで、再度店内に目を向けると、「キリンビール」の看板があちこちにあることに気づきます。
「“年中あります”っていうのが珍しいんやで。」と少し自慢げに大将が話しかけてくださいました。
先代が淡路屋を始めた当時、キリンビールはビールの最大手。一定量の仕入れができる飲食店にしか生ビールを卸していなかったそう。
そんな時代でも、どうしてもキリンビールをお店で出したいと先代は頑張って営業を続けた結果、常連客が定着するようになり、やっとキリンビールを卸してもらえるようになったのだとか。
そして、通常は夏場にしか販売しない生ビールを年中置いてある店として売り出し、キリンビールに直接、この”年中あります”という看板を作ってもらったのだそう。
淡路屋の営業を幼い頃から手伝い、先代のこだわりを一番そばで見ていたという現大将。
店を継ぐのは自然な流れだったのだとか。先代から通い続ける常連から、現大将に魅せられた常連さんが今のお店を支えています。
カメラを向けると、ニカっと笑う可愛らしい人柄もあり、みんなに愛される大将。そんな大将とのたわいの無い雑談も最高のつまみになりそうです。